大編成曲(4パート以上)

妖精の踊り                箏4  十七絃  尺八
1989年 9月 作曲

森の中の村。子供達が夜寝静まると、森の妖精達が現われて踊り出す。

すべては夢の中の出来事。
摩訶不思議な夢             箏3  十七絃
ある日、異国を旅する不思議な夢を見た。
ラクダに乗った商人の行列が砂漠の地平線を進んで行く、アラビアンナイトに出てきそうなランプのある店先を、ジプシーの一団がもの悲しい音を鳴らしながら通り過ぎていく。
熱帯を思わせる生い茂った木々の間で、人々が楽器を弾き鳴らし、情熱的に踊り狂っている。とても不思議な夢だった。
子供の為のラプソディ          箏2  十七絃  尺八
1991年 9月 作曲

この曲は、前作『摩訶不思議な夢』とともに、ドビュッシーの『子供の領分』に発想を得て書いたものです。
自由な子供の心象風景を、ジャズやポップスの要素をふんだんに盛り込んで表現してみました。スケールは六音階を使うことによって、和楽器の機能を生かしながら、新しい感覚が表現出来るように考えてみました。パーカッションや効果音等を入れて、自由に演奏していただけたらおもしろいと思います。
星のかなたに               箏  十七絃  三絃  尺八
第一楽章 スターダスト
夜空と輝く星、透明な世界に星たちの音楽が響いている。流れ星、彗星、光がきらめく夢のような無限の世界に思わず引きずりこまれてしまう。

第二楽章 メリーゴーランド
星空の遊園地で廻る、きらびやかな回転木馬。赤、青、黄、緑 … 様々な光をまき散らしながら、そこだけが夢の世界のように浮かび上がっている。
谺の詩                   箏2  十七絃  尺八
1990年 10月 作曲

早朝の清冽な幽谷に透明な響きがこだましている。それは、まるで樹木や岩山の精霊たちの声のようにも聞こえる。
朝露が立ち籠め、浄化した空気のなかで差し込む光さえも歌っているようだ。
編曲民謡調                箏2  十七絃  尺八2
1993年 2月 編曲

民謡のモチーフは、従来、様々なジャンルの音楽に取り入れられ、親しまれています。
この曲は、『ソーラン節』『追分』『八木節』というポピュラーな三曲を、序破急の構成でアレンジしたものです。
8ビートに乗った現代的な感覚で編曲してありますので、年配の方はもちろん、若い人も楽しめるようになっています。
打ち物等を加えたり、大編成で合奏したり、楽しく演奏して下さい。

華幻想                   箏独奏
第一楽章『萌ゆる花』は、ピアニスティックな手法を駆使した曲で、心象的な花の萌えいづるイメージを表現したものです。

第二楽章『真紅のバラ』は、日本人が感じるラテン的な情熱的な花のイメージで、カルメンのシーンが織り込まれています。

第三楽章『風に舞ふ』は、風に舞い散る桜花という典型的な日本の美を、現代的な感覚で表現してみたかった。
風になる瞬間               箏  十七絃  尺八
1991年 4月 作曲

街の灯のきらめきは、時として人を孤独へと誘う(いざなう)。見知らぬ群衆をかき分け通りへ出ると、騒音を残して無数の車が行きかっている。立ち止まればただ一人私を残して街は巨大に動めいている。見上げても空は小さく暗い。ただ群衆に押しのけられたような街路樹が春風を受けてそよいでいる。
人はふと風になる瞬間(とき) …… を夢見る。
弦鳴                    箏2  十七絃
1991年 3月 作曲

この曲は十七絃と津軽三味線の二重奏として作曲したもので、津軽三味線のパートを箏二面に編曲したものである。
『弦鳴』という題名のように弦と弦が鳴り合い、響き合いからみ合って力強く進行していく。
インプレッション〜秋〜         箏  尺八
1989年 9月

秋の幻想的で深い印象を、箏と尺八の二重奏にまとめたものです。
和楽器の響きが持つ色合いと秋のイメージが、うまく重なるように書いてみました。
幻想的二章                箏2  十七絃
第一楽章 月光と流れ
月の光とそれを映し溶かしながら流れる水。その光は白と青を基調として、宝石のような美しい色をたたえている。

第二楽章 光る草原
古代遺跡を思わせる石群が草原の中に並んでいる。月光が石や草や岩肌を照らし、その幻想的な風景は太古にもどったような気持ちにさせる。風が吹き過ぎ、遠くからは太鼓の音が聞こえてくる。
光のトレイン                箏2
1992年 4月 作曲

銀河を走る一すじの光
星くずを散らしながら、すい星のように七色の星間を進んでいく、
青く透きとおった宇宙空間を明るく照らす
それは 光のトレイン
聖夜に寄せて               十七絃独奏
第一楽章 星降る夜に
クリスマスイブの満天の星に思いを馳せて ……。

第二楽章 深夜の鐘
そしてイブの夜も更けて鐘の音が静寂さをより強調している。

第三楽章 雪が降る
日が変わり、クリスマスの朝は雪が軽やかに舞っている。
海のアラベスク              十七絃  尺八
1992年 8月 作曲

サファイアの輝きを帯びた紺碧の海、銀砂の浜辺、絵画のように心に染み透る風景。
17弦の深い響きが深遠なる海を、尺八の叙情的な歌が、悠々たる時の流れを描いているかのようだ。そして、両者の織りなす音は、あたかも、無数の絵の具のように、美しく幻想的な世界を浮かび上がらせてくれる。
海きらら                  箏2
1993年 7月 作曲

黄昏の浜辺、行き交う小舟
紅の夕陽が 水面(みなも)にきらめく
恋人達の語らいが 波間に溶け込んで行く
いつしか夕闇が立ち籠めた海原に 星々のイルミネーション
夢のような瞬間(ひととき)
EMOTION〜ときめき〜        箏2  十七絃  尺八
1993年 2月 作曲

流れるリズム、情熱のメロディに見え隠れする揺れる思いビートの利いた音色に不思議な霊感が宿っている。
純白のハートに染みいるEMOTION …… それは、ときめきの心。
ヴァイオリン協奏曲            箏5  十七絃
この曲は、1712年に、L'Estro Armonico(調和の霊感)という標題をもって発表されたところの作品3番の協奏曲集の第6曲であり、ヴィヴァルディの多くの協奏曲の中で、最も有名であり、最も多くの人々に親しまれている作品である。ヴィヴァルディらしい曲想、美しい旋律と簡潔で要領を得た対位法とによって構成されたこの名曲は、今日、少年バイオリニストたちの必須曲目となっている。
独奏バイオリンに対して弦楽合奏3部(バイオリン・ビオラ・チェロ)の原曲を、箏のアンサンブル曲としてアレンジしてみた。ヴィヴァルディの美しい旋律とハーモニーに箏の音色が新しい魅力を加えてくれると思う。
東風夜曲                 箏4  十七絃  三絃  尺八2
1994年 5月 作曲      尾崎宗昌 委嘱

異国情緒あふれる港の風景、夜風に木々がなびいている。海上遠く響き、消えゆく汽笛の声。そして、その遥か彼方で、星々は生まれているのだろう。浜辺にたたずみ、ひとり夜空を眺めていると、様々な幻想が浮かんでは消えてゆく。
あたりには潮騒が、恋人達のささやきの様に歌っている。風はあくまで爽やかに潮の香りを運んでくれる。異国の夜、私はひとり、異邦人たちの魂の歌を聴いているのだ。
琴姫のうた                 箏2  十七絃  三絃  尺八
1993年 8月 作曲      早川恵子 委嘱

この曲は『琴姫(ことひめ)隊』というネーミングの海辺の街に住む、子供達のグループのために書いたもので、曲名もそれにちなんで付けられています。
旅先で彼女達に出会ったのですが、その純粋な眼差しと、素朴なあたたかい笑顔を見ていたら、ふと琉球の旋律が浮かんできたのです。
ちょっとおどけたコケティッシュな前半、自由なテンポの中間部を経て、後半は沖縄独特のはずんだ軽快なリズムで盛り上がります。
最初は、箏・17絃の三重奏として書きましたが、その後、尺八・三絃を加え、より華やかにまとめてみました。
さくら〜ニューバージョン〜       箏2  十七絃  尺八2
1995年 3月 作曲

この曲は一九九五年『さくらジャズフェスティバル』のためにアレンジされたものです。他の楽器とのセッションを想定していたので、ソロ部は、和楽器が引き立つように、和楽器らしさを存分に引き出し、合奏部は、パーカッション等が入って効果があるように、リズミカルで迫力ある音作りを考えてみました。
初心者が加わった大合奏も出来るように、T箏は、弾きやすく書かれており、和楽器のみの合奏はもちろんのこと、他の楽器ともセッションも楽しめるのではないかと思います。

南国秘話                 箏4  十七絃  三絃  尺八2
1994年 12月 作曲

灼熱の太陽。鬱蒼(うっそう)と茂る森。ここは南国、神の国。ディフォルメされた古い石像から、太古の祈りの声が聞こえてくるようだ。語り部達の長い物語を聞いていると、ふと空想の世界に引き込まれてしまう。
それは、神から人間へと続く長い長い物語。きっと無数の人々が、喜びや悲しみの歌をうたってきたのであろう。
北斗幻想                  箏4  十七絃  三絃  尺八2
1995年 10月 作曲

A、雪原にて
北国の夜、降りしきる雪、吹きつける風、大地から聞こえる太古の声。

B、北斗の祈り
いつしか吹雪もやみ、北空に宝石のように星が煌く。

C、光の祭典
満点の星空、一面の銀世界、松明は赤々と燃え、生命のうたが雪原に響きわたる。
夢幻歌                   箏7  十七絃2
1993年 3月 作曲

華やかな舞台の陰にふと垣間見る空虚さ。そんなとき何となく物思いにふけっていると、走馬灯のように過去の記憶が甦ってくる。
喜怒哀楽、様々な出来事。
一つ一つ辿って行くと、いつの間にか現実から離れて、夢の中に引き込まれそうになる。
交錯した記憶が音の洪水となって溢れ出て、私の心を掻き鳴らす。
でも、それも一瞬。客席の拍手に呼び戻される。
胸にこみあげる思いを抱きながら、心を込めてうたおう『夢幻歌』を………。
出雲の阿国(おくに)           箏2  十七絃  三絃  尺八  打物
1995年 1月 作曲      西川鯉女 委嘱

阿国歌舞伎の創始者として知られる、出雲の阿国を題材として書かれた作品です。
当初は舞踏の地方として作られましたが、器楽のみで演奏・鑑賞できるように組曲風に書き直しました。
6つの場面から成り、第一景、第三景、第五景がソロ部。第二景、第四景、第六景が合奏部となっています。

【第一景 出雲路】
出雲からはるばる京の都へ旅をしてきた阿国一座。都は今や春爛漫。出雲の国のなつかしさと、都の華やかさをかみしめている。
   ふるさとや   出雲の国を   あとにみて
           みやこは春の花ざかり   花ざかり

【第二景 阿国の鈴踊り】
四条河原は芝居小屋で賑わっている。その活気にさそわれて思わず体が動き出してしまう阿国。鈴を手に軽やかに踊り出す。

【第三景 山三(さんざ)の笛】
山三との運命的な出会い。山三の勇壮でいて、もの悲しい笛の音に魅せられる阿国。

【第四景 歌舞伎踊り】
阿国歌舞伎の新しい出発ともいえる男振りの踊り、滑稽味を交えながら、新しい踊りへの創作の意欲が感じられる。

【第五景 別れ】
山三との悲しい永遠の別れ。しかし、山三の魂は阿国の踊りの中に宿っている。

【第六景 念仏踊り】
フィナーレの迫力ある群舞。素朴であるが力強い、この念仏踊りのエネルギーが歌舞伎創造への源になったのではないか。生命力に満ちあふれている。
さくら・21                 箏2  十七絃  尺八
1997年 2月 作曲

この作品は、全日本邦楽普及連盟『雅びの会』より、演奏会の序にふさわしい華やかな『さくら』の大合奏曲を、という依頼で書かれたものです。
子供から年配者まで、また初心者から上級者まで、皆、合奏で楽しめるように、T箏はやさしく、それ以外のパートはやや高度になっています。また、二重奏・三重奏・四重奏と、どのような形式でもおもしろく合奏出来るように、アレンジされています。
『さくら・21』という曲名は、世代を越え、時代を越え、21世紀への夢の掛け橋になってほしいという願いを込めて付けられたものです。
炎〜五重奏バージョン〜        箏4  十七絃  尺八
1997年 4月 作曲

この作品は従来の三重奏に、T箏・U箏のB部を加え、五重奏に編曲したものです。大編成での演奏、より迫力のある音作りを意図したもので、デュナーミク等も細かく指示しております。
尺八を加えた六重奏、あるいはパーカッション等も自由に取り入れて充分に演奏を楽しんでください。
哀愁紀行                 箏4  十七絃  尺八
1996年 8月 作曲      水野箏曲学院札幌スタジオ 委嘱

数年前、夏の富良野を旅したときの印象を楽曲にまとめてみました。
青く透み切った空。さわやかな風。丘いちめんのラベンダー。
絵はがきのような風景の中で、時間までが止まっているようでした。このすばらしい出会いに、ささやかな感謝を込めて、この曲を送りましょう。
未来花                   箏2  十七絃  尺八
1997年 9月 作曲

数年前より、『おことはじめ』シリーズ、『ことうた』シリーズと、おことを初めて弾き始めた人が楽しみながら、箏を学んでいけることを意図した曲作りを行ってきましたが、その次の段階として、今度はアンサンブルを楽しんでもらおうということで出来上がった作品です。
『おことはじめ』『ことうた』同様にT箏は技術的にはやさしく、ほかのパートはやや弾きごたえのあるように書かれています。
この曲は、十代の若者達を中心とした『未来花コンサート』のテーマ曲になっており、特定の描写音楽というわけではありませんが、百花撩乱をイメージするような色彩豊かで華やかな曲調になっています。
浪漫舞流                 箏2  十七絃  尺八
1998年 3月 作曲      尾崎宗昌 委嘱

青色は、限り無く神秘的で、ナイーブでエキゾチックな色。寡黙で思慮深い色、ときには驚くほど、華やかで心ときめく色。
空の青/ブルーと海の紺/コバルトブルーが、はるか地平線のかなたで溶け合って一つになったら、いったいどんな色になるのか、想像したことがありますか。
それはきっと、すべてを染めてきらめいている。
幻想的な浪漫的青色/ロマンティックブルーではないでしょうか。
飛鳥伝説                 箏2  十七絃  尺八
1998年 6月 作曲

古代のロマンの都、平城京。飛鳥時代の奈良は、万葉集に歌われているように、におうように華やかな都であったのでしょう。
古えの神々が鮮烈に息づいているこの都は、あたかも未来都市のような超時代的なイメージをも感じさせてくれます。
この時代に、そしてこの都に生きた神々と人々のロマンの詩を私は歌い上げてみたいと思います。

荒城の月・21               箏3  十七絃  尺八
1999年 1月 編曲

1997年に出版された『さくら・21』は、コンサートの序にふさわしく『楽しさ』と『華やかさ』をコンセプトに書き上げましたが、この『荒城の月・21 〜Moonlight Illusion〜 』では、フィナーレを飾るような『叙情性』と『高揚感』をテーマに、楽章ごとに練り上げてまとめてみました。
『さくら・21』と同様にT箏は技術的に平易に、他のパートはある程度高度に書かれており、大編成での迫力ある演奏を意図されていますが、『荒城の月・21』では、ソロ部もふんだんに織り込み、より劇的な構成になっています。
21世紀を目前にし、新世紀に希望を込めて、音楽を愛するすべての人へ、この作品を贈りたいと思います。
日本の詩                 箏2  十七絃  尺八
1995年 8月 作曲      永廣孝山 尺八リサイタル委嘱

編曲というのは、既成のメロディという制約された中で表現しなければならないという点で、オリジナル曲よりも窮屈な所があり、この作品はまた、洋楽器のやわらかく厚みのあるアレンジが定番となっているような愛唱歌を和楽器で編曲するということで、苦労しました。
構成としては、全体を流れる印象的なモチーフが最初に提示され、その後オムニバス的になつかしいメロディが浮かび上がっては消えていく形になっています。
技術的には高度に書かれており、とくに尺八は、すぐれたテクニックと表現力が要求される曲になっています。
本来、小編成の作品ですが、ある程度大きな編成でも効果が上がるようにソロ部と合奏部を表記しました。
スターズ・ギフト              箏2  十七絃  尺八
2000年 3月 作曲

ミレニアムの第一作、この作品は題名のように、希望にあふれたかわいい曲調になっています。
U箏ソロが提示する ふくらみのある『宙のテーマ』と、T箏ソロがかなでる きらめくような『星のテーマ』が、曲全体でからみ合い歌い合っていく構造になっています。
新世紀に向かって皆それぞれの新しい発見、すばらしいギフトがあることを祈って、みずみずしい感性を伝えたいと思います。
HITO−TOSE 〜春夏秋冬〜    箏  十七絃  三絃  尺八
1999年 5月 作曲

季節感を表現した作品は、これまでにも何曲か書いておりますが、今回は四季折々の季節感というより、季節の移り変わりと、その心象風景をテーマに、まとめてみました。

第一楽章は、春から夏への移り変わり。
まぶしい陽光、鳥のさえずり、薫風の中で、パステルカラーの風景が、一日一日濃く、原色に近づいてゆく。生命力があふれている。

第二楽章は、秋から冬へ。
収穫の祭りから、大地はしばらくの間休息に入る。木枯し、吹雪等自然は手厳しいが、その中で着実に新しい生命(いのち)が息づいている。

箏・三絃・17絃・尺八の四色の楽器で、四季を彩ってみたつもりですが、とくに、三絃の力動的な音色感に季節の移ろう感覚を託してみました。
第一楽章と第二楽章は、連続して演奏されますが、第一楽章では、みずみずしい叙情性と躍動感、第二楽章では、現代的なリズム感とダイナミクスを主眼に表現し、それらの対比が明確に伝わればおもしろいのではないかと思います。
RYO〜乱〜                箏2  十七絃  三絃2  尺八
2000年 7月作曲 未来花コンサート第45期NHK邦楽技能者育成会有志委嘱

灼熱の砂漠の上空を吹き渡る、気まぐれな季節変わりの風に誘われるように、一期一会、オアシスでは、この世のものとは思われない、あらゆる花が咲き乱れることがあるという。
まさに百花撩乱、自然の奥深い神秘と驚異を感じる瞬間だ。過酷な気候のなかで、砂漠の草木達は、この一瞬の為に長い時間を費やしてきたのであろう。
新世紀に若者達が鮮やかな花を咲かせてくれることを祈って、この曲を贈ろう。
六段変化                 箏2  十七絃  尺八
2001年 10月 編曲

この作品は『六段』のテーマを箏・17絃・尺八の大合奏用に編曲したものです。
『さくら・21』『荒城の月・21』の続編ともいうべきもので、『さくら・21』では『華やかさ』を、『荒城の月・21』では『高級感』をテーマに書き上げましたが、今回の『六段変化』では、原作の中に流れている『雅やかさ』を私なりの感性でデフォルメしてみました。
大合奏の中では余韻の多様な線の美しさや、個人的な音色感を表現することは難しいことから、技法・手法的なことよりも、原作の持つ『優美』という内的な美感を、現代の感性でも共感できるようにという方向性で音作りをしてみました。
やや甘さのある抒情的な副旋律と対比されながら『六段』のテーマが浮かび上がり、強調されるように編曲されています。
大地の記憶                箏2  十七絃  尺八
2002年 1月 作曲      玉木信子 委嘱

大地に生まれ、大地に死す ……。
宏大で苛酷な大地の上に一人佇んでいると、人間の存在のなんと儚いことか ……。
悠久の時を経て、変わらぬたたずまいを見せる自然と対峙していると人の生命は泡沫(うたかた)の夢のように思われる。
しかし、短いからこそ生命は豊かで、深い情感に包まれているのだ。それはあたかも、大地の無限の記憶を一瞬に凝縮させたような、心震わせる感動の結晶なのかもしれない。
じょんがら五重奏             箏2  十七絃  尺八2
2000年 1月 作曲

この作品は、従来の箏二重奏曲『じょんがら変奏』に十七絃・尺八2部を加え、大合奏としてより効果が上がるように、意図されたものです。
津軽三味線の代表曲である『津軽じょんがら節』を三絃以外の楽器で編曲したものですが、もちろん津軽三味線との合奏も可能です。
二重奏・三重奏・五重奏などいろいろな編成も楽しめ、また、打物・アドリブなどを加えた華やかな演出もおもしろいと思います。
未来花U                 箏2  十七絃  尺八
2003年 4月 作曲

全曲を通じて、みずみずしい感性をちりばめた作品。
『未来花』の続編であるこの作品は、前作と同様に成長し変化していく精神の息吹きともいうべきものを、箏の持つ生き生きとした音色感で表現したかったのです。
T箏は比較的平易に書かれており、初歩の方もアンサンブルを楽しんでいただけると思います。
PASSION〜ひとひらの桜によせて〜  箏2  十七絃  尺八
2003年 1月 作曲      黒川公子 委嘱

委嘱者の友人である歌人の歌集より 桜の歌を一首選んで、そのイメージを音に択して一気に書き上げた作品である。
桜が舞い散る華やかさ、そして散りゆくさみしさを現代的な感覚で表現したものである。
曲中、『さくらさくら』の旋律を織り込み、日本的な情感を高めている。

     〜はるかなる君の胸へと飛んでいけ
                     桜ひとひら春風に乗り〜

                  『二十歳の頃の我に向かいて』 佐藤彰子歌集より

PASSIONU〜黄昏の街へ〜     箏2  十七絃  尺八
2003年 2月 作曲

日本人の感じる『秋』のイメージを現代的な感性と音使いで表現してみました。
『風』を感じさせるさわやかな前半から、しだいに抒情的な中間部へ、そして『紅葉』が舞い散るようなあざやかな後半部へと移行していきます。
後半には、『荒城の月』の旋律が織り込まれ『秋』のイメージを盛り上げています。

WHITE MEMORIES〜白銀のソナタ〜  箏2  十七絃  尺八
2004年 1月 作曲      水野箏曲学院札幌スタジオ 委嘱

秋から冬へ、広大な北の大地が白銀の世界に変わっていく。降りそそぐ純白の雪は、あたかも生命を宿しているかのように優しく光り輝いている。この雪の一粒一粒に、北の大地に生きる人々のロマンと哀感が込められているのだ。人の魂と雪の魂が共鳴したとき、それは美しい音の万華鏡となって、この大自然を彩るのだろう。

島恋歌〜TOURENKA〜         箏2  十七絃  尺八
2005年 4月 作曲      篠原美津寿 委嘱

人が誰でも持っている望郷の想い。ふと孤独になるときに感じる深い情感。
島、波、風、港、別離、旅人、想い人、郷愁、人生・・・・様々な感情を箏と尺八の音に託して歌ってみよう。

氷の炎                    箏2  十七絃  尺八
2006年 1月 作曲

窓ガラスを揺らす激しい吹雪も夜明けと共におさまり、外は春光のようなまぶしい光に満ちている。
昨夜の嵐に、吹き寄せられた流氷が、陽光を浴びてプリズムのように煌めいている。
それは、あたかも金色の炎につつまれたように燃え上がって見ている者を幻想の世界へと誘っていく。
そして魂の底から深い情感を呼び起こすのだ。
この燃えるような強い想いを音に託してみたいと思った。

紅の魔方陣                 箏2  十七絃  尺八
2006年 11月 作曲

窯(かま)焚きの朝は早い。
黎明から、薪割りやレンガを積む音が、山に響いている。
窯詰め、火入れが終わり、黄金色の炎で窯は包まれていく。
伝説の『火童子(ひわらし)』の力を借りて、これから夜通し灼熱の火炎と格闘するのだ。
夜も明け、緊張の窯出しの瞬間。宝石のような陶器の美しさに思わず息を飲む。
窯はまさに、炎を自在に扱い宝物を生み出す魔法の空間だ。

夢の迷宮                 箏2  十七絃  尺八
2007年 3月 作曲      篠原美津寿 委嘱

異境の土地を旅すると、思わぬ昔ばなしや伝説が隠されていることに、驚くことが多い。
滑稽な民話の中には、人々の喜びや悲哀が満ちている。
古人の生活に思いを馳せながら、旅していると、しばしば、不思議な迷宮に迷い込んだような気持ちにさせられる。
空想の中に身をゆだね、私は、古人の魂と語り合っているのだ。

春の海・21                箏2  十七絃  尺八
2007年 7月 作曲

『さくら・21』『荒城の月・21』『六段変化』に続く、大合奏編曲シリーズの第四作になります。
今回は、『春の海』に流れている現代性と、日本的情感の美しさを大合奏の中で、いかに際だたせ表現するのかということをテーマに曲作りをしてみました。
全体の構成としては、原作に添って進行していきますが、部分部分に、大胆なアレンジを試み、それによって、原曲の持つシンプルな美しさを引き立てることを意図しました。
和楽器を代表するこの名作の音楽性が、より広く多彩なイメージで伝えることができれば、すばらしいと思います。

風の魔術師                箏2  十七絃  三絃
2008年 1月 作曲      邦楽アンサンブル 彩音  委嘱

風の様々な変容を、魔術師に喩えて、箏・三絃・17絃の四重奏で表現してみました。
爽やかな初春のそよ風、夏を呼ぶつむじ風、稔りを祝う秋風、うねる木枯らし、そして薫風に想いを乗せて歌って下さい。 

北国絶唱                 箏2  十七絃  尺八
2008年 6月 作曲      東北正絃社  委嘱

雪に閉ざされた北国の冬の夜。
しんしんと雪は降り積もり、遠く夜汽車の汽笛だけがしじまに響いている。
その音も止み、かすかな風音がより濃密な静寂へと導いていく。
永遠に降り続くようにはらはらと舞う雪を見ていると、いつしか深い情感にとらわれていく。
そして、それは雪解けの季節への強いあこがれを呼び起こす。
桜花が咲き乱れ、鳥が囀り、滝が水しぶきを上げる。
湖畔に映える月影、薫風に木々はそよぎ、空は満天の星。
雪国で春を待つ人々の限りない想いを和楽器に託してみたい。

炎のソナチネ               箏2  十七絃  尺八
2010年 1月 作曲      玉木信子  委嘱

初期の作品に『炎』という曲があるのですが、この曲は、焔が燃え上がる原初的なイメージをダイナミックに表現したものです。『炎のソナチネ』も同じ火をテーマにしていますが、この作品では、炎から感じられる深遠で神秘的な形象をより詩的な感性で音にしてみようと思いました。心の奥からほとばしる霊感を、一つ一つの音に託してみました。

赤光の輪舞                箏2  十七絃  尺八
2010年 3月 作曲      赤澤康子  高橋典子  山本由利雅   委嘱

小高い丘が、西日を浴びて橙色に染まっている。遠くの山々も、夕日が稜線を照らし茜色に輝いている。いつものように夕暮れの中、人々が集い、踊り、歌っている。昼から夜に変わっていくこの一瞬の神秘的な美しさを、つややかな和楽器の音色で奏でてみました。

蒼天のペガサス             箏2  十七絃  尺八
2011年 8月 作曲      グループ百音  委嘱

優美なるものを求める想いを天翔るペガサスの流麗な姿に託し、和楽器の豊かな音色で表現してみました。透き通るようなスカイブルーの空から、星座煌めく天空まで、ペガサスは時空を超え、飛翔する。その純白の姿は、気高く、美しく、その翼は、風を切り、力強く羽ばたいている。

青い桜〜ハカランダの舞〜      箏2  十七絃  尺八
2012年 5月 作曲      鈴木多恵子  委嘱

南米のブエノスアイレスでは、 11月上旬の春か初夏にかけてハカランダの花が満開になります。街並が薄紫色にグラデーションされ、まさに『青い桜』と呼べるでしょう。ハカランダの花の精が舞い踊るイメージを、タンゴのリズムで表現してみました。

乾坤歌                   箏2  十七絃  尺八
2012年 10月 作曲      長谷川桂子  委嘱

『乾坤(けんこん)』とは天地、すなわち大いなる自然のことを言います。
美しく豊かな自然を願い、そして、その恵みを受けて生きるすべての生命への讃歌として、『乾坤歌』と名付けました。

音霊                     箏2  十七絃  三絃  尺八
2013年 2月 作曲       パンプキンズ  委嘱

紺碧の空の下、深遠なる森の中から優しい調べが流れてくる。
その美しい響きは、琴線に触れ、深い感動を与えてくれる。
秀麗な音楽には魂を震わせる「音霊」が宿っているのでしょう。

夏月                     箏2  十七絃  尺八
2013年 6月 作曲       水野筝曲学院 札幌スタジオ  委嘱

初夏の煌々と輝く満月の夜にインスピレーションを得て書き上げた作品です。
頬を撫でる爽やかなそよ風、青々とした木々の薫り、煌めく星々…
初夏を迎えた自然の清々しい美しさを和楽器の豊かな響きで表現してみました。

白い翼                   箏2  十七絃  尺八
2013年 10月 作曲      伊藤イチ  委嘱

この作品は、日本武尊(ヤマトタケル)の勇壮で神秘的な伝説をイメージして作られています。
日本武尊は、日本を代表する美しく力強い英雄でありますが、その反面、悲劇的な人生を送ります。
父親である景行天皇に疎んじられた故に、孤独な戦いを強いられます。
様々な苛酷な闘い、そして悲恋の末、短い生涯を終え、魂霊は、美しい一羽の白鳥と姿を変え、大空へと羽ばたいて行ったと言われています。

風の旅人                 箏2  十七絃  尺八
2014年 3月 作曲      高野智都子  委嘱

「小諸なる古城のほとり、雲白く遊子悲しむ」とは、有名な島崎藤村の「千曲川旅情の歌」の一節になります。「遊子」とは、旅人のことを言います。
人は誰もが、見知らぬ地への憧憬を持っています。
この作品は、爽やかな風に誘われて異郷を旅する旅人をイメージして書き上げました。


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