小編成曲(3パート以内)

二面の箏のための 麗韻        箏2
1986年 8月 作曲

梅雨時は、案外夕立のような激しい雨が降るものです。
又、ぼんやりと雨にぬれた風景を眺めるのも一興です。
そして、窓を打つ雨、風の音を聞いていると、夏祭りの笛、太鼓が聞こえてくるような気がします。
じょんがら変奏              箏2
1987年 9月 作曲

津軽三味線の力強さに憧れて、津軽じょんがら節の主題を箏の二重奏に変奏したものです。
津軽のきびしい自然、海、空、風、波の音 ……。そういったものに思いをはせて書いてみました。
虹                      箏2
1987年 9月 作曲

友人の結婚式の為に書いた小品です。
未来にかかる七色の美しい虹 ……。
そんなイメージで書いてみました。
箏の二重奏曲になっていますが、第一箏のみの独奏曲として演奏してもいいと思います。
風の色                   箏2
1986年 10月 作曲

春は花咲く頃、

色とりどりの花びらに染まって

風の色が見えるような気がします。
二面の箏と十七絃のための〜炎〜  箏2  十七絃
1989年 4月 作曲

燃える炎、交錯する影。

オリエンタルな音階と激しいリズムが混ざり合ってさまざまなイメージが浮かぶ。
花織り                   箏独奏
1986年 2月 作曲

叙情あふれる春の心象風景を描いています。
小川のせせらぎ、花見のにぎわい、風に吹かれて舞い散る桜花 ……。
緩急のうねりの中に、こういったものが織り込まれています。
三つのスケッチ              箏  三絃
1989年 8月 作曲

箏と三絃の二重奏をスケッチ風の三編にまとめてみました。
各楽章の小題のイメージにあまりこだわらなくてもよいと思いますが、楽章ごとのコントラストがはっきりすると、演奏効果があると思います。
円転                    三絃二重奏
1989年 9月 作曲

万物は流転する。単純なモチーフが、様々に変容しながら、

現れては消えていく。
春を呼ぶ二つのソネット         箏2
1990年 4月 作曲

春は生命の季節。
心浮き立つような楽しく、かわいい曲を書いてみたいと思い、二つの小品にまとめてみました。
第二章は、アニメ『魔女の宅急便』を見て、イメージしたものです。
波光                    箏2
1989年 11月 作曲

揺れる波、きらめく光、

水面に反射する光が、音のプリズムとなって響き渡る。

華幻想                   箏独奏
第一楽章『萌ゆる花』は、ピアニスティックな手法を駆使した曲で、心象的な花の萌えいづるイメージを表現したものです。

第二楽章『真紅のバラ』は、日本人が感じるラテン的な情熱的な花のイメージで、カルメンのシーンが織り込まれています。

第三楽章『風に舞ふ』は、風に舞い散る桜花という典型的な日本の美を、現代的な感覚で表現してみたかった。
風になる瞬間               箏  十七絃  尺八
1991年 4月 作曲

街の灯のきらめきは、時として人を孤独へと誘う(いざなう)。見知らぬ群衆をかき分け通りへ出ると、騒音を残して無数の車が行きかっている。立ち止まればただ一人私を残して街は巨大に動めいている。見上げても空は小さく暗い。ただ群衆に押しのけられたような街路樹が春風を受けてそよいでいる。
人はふと風になる瞬間(とき) …… を夢見る。
弦鳴                    箏2  十七絃
1991年 3月 作曲

この曲は十七絃と津軽三味線の二重奏として作曲したもので、津軽三味線のパートを箏二面に編曲したものである。
『弦鳴』という題名のように弦と弦が鳴り合い、響き合いからみ合って力強く進行していく。
インプレッション〜秋〜         箏  尺八
1989年 9月

秋の幻想的で深い印象を、箏と尺八の二重奏にまとめたものです。
和楽器の響きが持つ色合いと秋のイメージが、うまく重なるように書いてみました。
幻想的二章                箏2  十七絃
第一楽章 月光と流れ
月の光とそれを映し溶かしながら流れる水。その光は白と青を基調として、宝石のような美しい色をたたえている。

第二楽章 光る草原
古代遺跡を思わせる石群が草原の中に並んでいる。月光が石や草や岩肌を照らし、その幻想的な風景は太古にもどったような気持ちにさせる。風が吹き過ぎ、遠くからは太鼓の音が聞こえてくる。
光のトレイン                箏2
1992年 4月 作曲

銀河を走る一すじの光
星くずを散らしながら、すい星のように七色の星間を進んでいく、
青く透きとおった宇宙空間を明るく照らす
それは 光のトレイン
聖夜に寄せて               十七絃独奏
第一楽章 星降る夜に
クリスマスイブの満天の星に思いを馳せて ……。

第二楽章 深夜の鐘
そしてイブの夜も更けて鐘の音が静寂さをより強調している。

第三楽章 雪が降る
日が変わり、クリスマスの朝は雪が軽やかに舞っている。
海のアラベスク              十七絃  尺八
1992年 8月 作曲

サファイアの輝きを帯びた紺碧の海、銀砂の浜辺、絵画のように心に染み透る風景。
17弦の深い響きが深遠なる海を、尺八の叙情的な歌が、悠々たる時の流れを描いているかのようだ。そして、両者の織りなす音は、あたかも、無数の絵の具のように、美しく幻想的な世界を浮かび上がらせてくれる。
海きらら                  箏2
1993年 7月 作曲

黄昏の浜辺、行き交う小舟
紅の夕陽が 水面(みなも)にきらめく
恋人達の語らいが 波間に溶け込んで行く
いつしか夕闇が立ち籠めた海原に 星々のイルミネーション
夢のような瞬間(ひととき)

二つの歌                  箏  尺八
1992年 6月 作曲

第一楽章 地中海の風
コバルトブルーの海上を吹き抜ける風は、過去から未来への時の翼のようだ。光と影が別世界であるようなこの地中海で、海鳥の羽ばたきが色を添えている。

第二楽章 スペインの夜
夜のスペインは、異文化の混ざり合った激しい血の匂いを感じさせる。酒場から聞こえてくる激しいギターの音と手拍子のリズム。哀愁を帯びた歌声がそれとマッチしてやけに郷愁を誘う。
マリーンラブ                箏  尺八
1994年 3月 作曲      鳥山万季 委嘱・初演

エキゾチックな潮の香りに満ちる異国の島々、神々への祈りの声が鼓動のように響いてくる。
心ときめかす潮騒、風がささやき、波の音が心を打つ。昼と夜の狭間で、南国の空気は、一際輝いて見える。
ノクターン                 箏独奏
1990年 6月 作曲

ノクターン(夜想曲)は、ショパンの作品があまりにも有名ですが、そんなイメージで箏の小品にまとめてみました。
あくまで、甘く、切なく、ロマンチックに演奏して下さい。
弦舞                    箏  十七絃  三絃
1994年 4月 作曲

弦の弾く音を聞くと、体の深い所で共鳴し、何か忘れていたものを呼び起こしてくれる。
そういった原初の響きを、箏・三絃・17絃という、それぞれ個性を持った弦楽器同志のアンサンブルで表現してみたかった。この三者は、いずれが主で、いずれが従というわけではなく、それぞれ自己主張しながら、絡み合い、反発し合い、また、溶け合っていく。序破急、あるいは不即不離という、日本の伝統的な美意識をベースにはしているが、あくまで現代性を意識して書いたつもりである。
彩春                    箏  尺八
1996年 1月 作曲      岩田恭彦 委嘱

春夏秋冬の微妙な季節感を楽しんだり、花鳥風月を愛でるというような、自然に対する思い入れの深さ、繊細さを日本人は特に強く持っているように思われます。その中でも『春』、そして『桜花』に対する日本人の思いは特別のもののようです。
春は、雪の下でじっと息づいていた生命が蘇る時期(とき)。モノトーンの世界から淡い彩色がにじみ出し、カラーの世界へと変わる時期。そして人それぞれの希望が交錯する時期。この『春』という無限のキャンパスに、私は『音』という絵具を一面に散りばめてみたいと思います。
トワイライト・シーン            箏2  尺八
1993年 12月 作曲

黄昏時は、怪しが現れるという逢魔の刻(とき)。
昼と夜、現実と空想の狭間で、残照と青白の月光が、あやしく解け合っている。
それは都会のふとした虚ろな空間にかげろうのように立ち上る眩惑的なワンシーン。
千鳥転生                  箏  十七絃  尺八
1994年 6月 作曲

この作品は、吉沢検校作曲『千鳥の曲』の印象的なモチーフを素材にして、箏・17絃・尺八の三重奏として、現代的にリメイクしたものです。
吉沢検校は、箏組曲の中に流れる『品格』と『形式美』を、知的な観点と、すぐれた音楽的美意識から、見事に再生した幕末の天才といえます。とくに『千鳥の曲』は、『様式美』と『音楽美』とのバランスが絶妙であるという点で、きわだった作品ですが、この名曲を未熟ではありますが、私なりの感性で現代に甦らせてみようと試みたわけです。
組歌的なシンプルで格調高い箏の音色感とフレーズの流れを、尺八のやわらかさ、17絃の重厚さと対比させることによって、よりきわだたせ、また、そのモチーフをそれらの楽器に歌わせることによって、現代的なニュアンスを持たせようとしました。
全体的な構成としては、三つの楽器の混沌とした音のからみの中から『千鳥の曲』の印象的なモチーフの断片が多様の形で現れては消えていくという幻想曲形式になっており、演奏としては、リズム感や大きなフレーズでの流動的な自由さと、本質的に変わらない古典的フレーズでの美意識との対比がうまくできれば、おもしろいのではないかと思います。
風のセレナーデ              箏独奏
1993年 7月 作曲

初夏の爽やかな風に想いを乗せて歌ったラブソング。迸る(ほとばしる)ような激しいテーマに続いて、右手のトリルは風のうなりを、左手のせつないピチカートはあふれる想いを一気に奏でていく。たゆたうような中間部を経て、躍動的な後半は、生命の讃歌を謳い(うたい)上げる。
誰もが一度は感じる熱い感情を箏の音色に託してみました。
譚歌 〜彷徨える吟遊詩人〜     十七絃  尺八2
1998年 1月 作曲      大西湧山 委嘱

尺八と17絃の甘く、深みのある音色はバラードによく似合う ……。
副題は、〜彷徨える吟遊詩人〜。
時代は中世ヨーロッパ。
当時、竪琴(たてごと)を携えヨーロッパ各地を放浪して歩いた吟遊詩人をイメージして、一片の叙事詩を奏でてみたかった。
彼らは、即興的に様々な物語を歌っていたのであろう。
荘厳な王家の栄枯盛衰の歴史から、勇壮な騎士の物語。想い人を戦いで失った悲話など、人々の過去から未来へ脈々と続く様々な営みを、喜怒哀楽を織り混ぜて語っていたのであろう。
エレジー、セレナード、レクイエム ……。彼らの奏でた魂の詩を、わたしも歌ってみよう。
ミレニアム・ロード             箏2  十七絃
2000年 1月 作曲

高校生の祭典にふさわしく、「若々しさ」と「躍動感」、そして「新世紀への希望」をテーマに、箏・17絃の三重奏として書き上げたものです。若者達がそれぞれの人生を歩む姿を彷彿とさせるような、力動的で華やかな演奏を期待しています。

暮色ポエム                十七絃  尺八
2001年 6月 作曲      坂田梁山 委嘱

夕闇迫る街角、ポプラ並木が風にそよいでいる。さっきまで赤く光っていた西の空も、いつのまにか暗い紫色に変わり、あたりは暮色に染まっている。家路を急ぐ人々の背も心なしかさみしそうだ。
こんな景色を思いながら、時の移ろいの間に人がふと感じる哀感とやさしい気持ちを、尺八と十七絃のやわらかく深い音色で奏でてみたいと思った。
シンシア                  箏  十七絃
2004年 8月 作曲

『シンシア』、それは、飾り気のない誠実な心。
魂に共鳴した一つのモチーフを今の感性に正直に展開していった。
構成は、箏と十七絃。
音楽が与えてくれる純粋なひらめきを箏の持つピュアな響きに、そして深い感動を十七絃の音に託してみた。
いつまでも、素直で生き生きとした感性を持ち続けることを祈って・・・。
千鳥変化                  箏独奏
1994年 6月 作曲

既刊の『千鳥転生』(箏・17絃・尺八三重奏曲)の原形となる箏独奏曲。
『千鳥の曲』の中に流れている格調高い精神性を箏の独奏曲として表現したいと思い、書き上げたものです。
現代的な技法の中で、『千鳥の曲』のモチーフをより強い印象で浮かび上がらせようと試みました。

雪乱舞                  三絃独奏
1992年 8月 作曲

和楽器の中で、三絃ほど、種目・流派の多い弦楽器は珍しい。
というのは、この楽器ほど、演じる者によって、ニュアンスの異なるものは少なく、
演者は、自分に合う楽器・手法・表現等を個々に追求してきたのであろう。
三絃独奏曲『雪乱舞』には、そうした三絃の持つ多様性が織り込まれている。
長唄的な切れのいい「序」から始まり、文楽の舞台を思わせる「くどき」の部分が続く。
中間部では、地歌のはずむ軽快な表現から、津軽三味線を思わせる激しいコーダへと盛り上がっていく。
こうした物まね的な音楽表現を使って、一種の虚構の世界を作ってみたつもりである。
ここに展開されるのは、美しい雪景色の自然描写というよりも、芝居小屋の舞台で舞い散る紙吹雪のような、書き割り的な雪景色である。表面は華やかであるが、その陰に、一種のぎこちなさ、わざとらしさが見え隠れする。そういった重層的なニュアンス、そしてディフォルメされた中に見られるリアリティ、また、そこにただよう哀感を感じていただければ嬉しい。

尺八三重奏曲 『』          尺八三重奏
2007年 11月 作曲

この作品は三本の尺八のために書かれたものです。尺八はすべて八寸管を使用し、三管が同等に、絡み、反発し、同調しながら進行することから、「巴」と命名しました。
尺八は奏者によって、音色感、フレージング、オーナメントなど個別差が大きな楽器です。この許容力が大きく、深みを持つ楽器の特性を生かせるように苦心しました。ハーモニーの美しさだけではなく、それぞれのパートの個性が際立つような演奏を目指していただければ嬉しい限りです。

クリスタルムーン             箏独奏
2009年 6月 作曲      磯部美詠子  委嘱

遠い異郷の神秘の森。そよぐ風が月光を浴びて黄金色になった木の葉や草を揺らしている。空気も淡く輝いているようだ。森の奥深くに美しい湖が翡翠色の水を満たしている。湖面に映える月影は水晶のように光っている。思わず魂までが吸い込まれてしまいそうだ。この幻想的な情景を箏の持つピュアな響きで表現してみたかった。

燐光                    箏2
2009年 11月 作曲      高野智都子  委嘱

『燐光』とは、黄燐が空気中で発する青白色の光や金剛石・方解石・蛍石などが光に当たった後の残光のことを言います。鉱物が発するこのような神秘的な光のイメージを箏の青色と重ね合わせてみました。桜花や花火と同様に短い刻の間に消えていくからこそ無上の美を感じ、その一瞬の煌きの中に、不変の感動が宿っているのでないでしょうか。

センセーション              箏2  十七絃
2010年 5月 作曲      伊藤イチ  委嘱

Sensation』とは、『感動』『興奮』という意味で使いました。
一度聞いたら忘れられないような、インパクトのある曲想を求めて一気に書き上げました。
力強く、若々しく、すっきりした表現力が要求されます。  

ゆーもれすく               箏  十七絃  尺八
2011年 3月 作曲      菊池真澄  委嘱

『ユーモレスク』とは、自由な発想のウィットに富んだ楽曲のことを言います。
ドヴォルザークの『8つのユーモレスク』がとくに有名ですが、この作品は和楽器で奏でる楽しいアンサンブル曲ということで『ゆーもれすく』と名付けました。

熱情の裏側               箏  十七絃  尺八
2012年 2月 作曲      宮島初枝  委嘱

迸る熱情の奥に潜む静かな情感。人間の感情は深く、豊かで、不思議だ。
激しさの中にある繊細な情緒を和楽器の艶やかな音色で表現してみたかった。   

巡る星座                 箏  十七絃
2014年 1月 作曲      若林みち子  委嘱

夜の帳、
爽やかな草原の夕暮れ、残照も消え、いつしか夕闇に包まれる。空には星が輝き始める。

輝く星々、
気が付くと、天空は満天の星に覆われ、宝石のように輝いている。

星下の安らぎ、
そよ風が頬を撫で、星々に優しく包まれる。癒しの一時。

巡る星座、
星下の一刻は永遠の時の流れを感じさせる。美しい星座は時を越えて巡る。

空と海のあいだ             十七絃  尺八
2014年 3月 作曲      藤田涼葉  委嘱

眼前に広がる瑠璃色の海、見上げれば透き通るような空色、
銀砂の浜辺で、一人、自然の稀有な美しさに深い感動を覚え、その想いを尺八と
17絃の二重奏に託してみました。

春待ち人                 箏  十七絃  尺八
2014年 6月 作曲      住吉夛加子  委嘱

「春」は、特に日本人にとって特別な感情を持つ季節です。
寒い冬を越え、雪の中に佇むスプリングエフェラメル(春の妖精)の可憐な蕾を見つけて心を踊らせ、華やかな桜吹雪に感動する。
春を待ちわびる心持ちを和楽器の美しい音色で表現してみました。


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